がんの痛みが心配な方は必見②!痛みの伝え方のポイント7選
こんにちは!緩和ケア医のみちるです!
前回の記事では、がん患者さんの5〜6割は痛みを抱えていること、がんの痛みの治療法は痛み止めの使用を中心に、いろいろな方法があることをお伝えしました。

今回は、より適切な痛みの治療につながるため、痛みの伝え方のポイントを解説します。
- どこが痛いのか?
- いつから痛いのか?痛みは強くなっているのか?
- ずっと痛いのか、ときどき痛いのか?
- どんな痛みなのか?
- 何をすると痛くなり、何をすると和らぐのか?
- 痛みでできなくなったこと、困っていること
- 痛みの強さ
メモや痛みの治療日誌も活用!
今回の記事でも、主にがんの人の痛みを想定していますが、①〜④はがん以外の人の痛みの場合、⑤⑥は慢性痛の場合でも役立ちます。
「痛みはあるけれども何を伝えれば良いのか分からない」という方は、次回の受診時に伝えやすくなると思いますので、ぜひ最後までご覧ください!
痛みを伝えることが大切な理由
痛みは表現しないと周りはわからない
痛みの治療には、まず痛みを伝えることが非常に大切です。なぜかと言うと、痛みは主観的な症状だからです。痛みがあるのかどうかを検査で確認する方法はありません。「痛いと言ったら痛い」んです。例えば咳なら、周りの人が見てわかりますよね。痛みの場合、実際に痛いのかどうかは本人以外わかりません。周りの人が見て「痛そう」と思うことはあるにせよ、痛いと言わないと周りの人はなかなか分かりません。

サッカーの試合中に選手同士の接触があり、選手が痛がっているなら主審はプレーを切らざるを得ません。
実際はさほど痛くないのに、時間を稼ぐために痛がっているように見せることもありますが笑。
CTやMRなどの画像検査を行えば、多くの場合は痛みの原因を推測することはできます。しかし、画像検査の結果と痛みの有無や強さが一致するわけではありません。ときどき「CT画像では痛みの神経がある場所に大きい腫瘍があるのに、痛みで全然困っていない」という方に出会うことがあります。痛みの感じ方は本当に人それぞれです。だからこそ教えてもらわないと、周りの人や医療者にはなかなか伝わりません。
反対に「画像検査では痛みの原因は見つからないけれども、ものすごく痛みで困っている」という方もいらっしゃいます。がんの痛みではありませんが、帯状疱疹後神経痛などは、この代表例です。痛みを伝える神経が帯状疱疹ウイルスで傷つけられたことで、いつも痛みが脳に伝えられてしまう状態になります。神経そのものを画像検査で見ることはできません。
高齢世代の方たちは、育った時代の価値観の影響で痛みがあっても我慢する方が多くいらっしゃいます。お子さんが「痛いなら言うんだよ」と勧めても、頑なに言わない方もいらっしゃいます。また、痛みが強くても「バチが当たったんだ」と考え、あまり訴えない方もいらっしゃいます。痛みを表現することは恥ずかしいことではありませんが、文化や価値観、意味付けなどのいろいろな影響も受けてしまうものです。
痛みを和らげることは、がん治療中から重要
痛みを和らげることはがん終末期に限った話ではなく、がん治療を行っている時期から非常に大切なことです。痛みが強すぎると、がん治療そのものを継続できなくなることもあるからです。

痛みを伝えることの大切さはわかったけれども、どんな風に伝えれば良いの?

では、伝え方のポイントをお話ししますね!
医療機関の受診時に医師や看護師に痛みを伝える際は、これからお話しする7つのポイントを意識してみてください。すべてできなくても構いません。どれか一つでも伝えられたら、医療者としては非常に助かります。
痛みの伝え方のポイント7選
①どこが痛いのか?
痛みを感じる場所を伝えましょう。痛みの場所は、非常に重要な情報です。
②いつから痛いのか?痛みは強くなっているのか?
「〇〇した瞬間から痛い」ということもあれば、「1ヶ月くらい前から痛い」ということもあります。特に、突然の強い痛みは、緊急性のある可能性があります。
がんの方の痛みについて尋ねると、「その痛みはがんの診断の何年も前からあります」と言われることがあります。その場合、まずはがん以外の原因を考えることになります。
③ずっと痛いのか、ときどき痛いのか?
痛みの訴えのある方でも、よく訊いていくとずっと痛いわけではなく、ある瞬間にだけ痛い、ということはよくあります。痛み止めを頓服で飲むするのか、時間を決めて飲むのかなど、薬の使い方が変わってきます。
痛くなる回数が一日の中で数回の場合に1日3回毎食後に痛み止めを飲んでいるなら、もしかしたら痛み止めの使いすぎかもしれません。
痛み止めを使う量や回数は、少なすぎても多すぎてもいけません。「ずっと痛いのか、ときどき痛いのか」は、痛み止めを適切に使うためにも、大事な視点です。
④どんな痛みなのか?
ご自分の言葉で表現してもらって全然OKなのですが、いざ「どんな痛みですか?」と尋ねられても、案外難しいものです。「そう言われてもうまく表現できないよ」という方は、こちらの中から当てはまるものを選んで伝えてみてください。
ズキズキ、鋭い、ガンガン、どーん、ズーン、重だるい、重い、締め付けられるような、割れるような、ヒリヒリ、ビリビリ、ジンジン、しくしく、しびれるような、焼けるような、電気が走るような、など
お住まいの地方の言葉で表現しても、もちろんOKです。患者さんと医療者で通じれば問題ありません。

痛みを表現する言葉って、実は日本の中でも地域によってかなり違うんですよ!
⑤何をすると痛くなり、何をすると和らぐのか?
「こうすると痛くなる、こうするとマシになる」ということを、具体的に教えてください。例えば、
- 「朝布団から起き上がる時に痛い」
- 「マッサージすると痛みが楽になります」
- 「右向きは痛いけど、左向きは痛みがマシ」
- 朝は痛いことが多くて、日中は少し楽
などです。
何をしてもずっと痛い、何をしても和らぐ感じがないということもあります。そういう場合は、もし訊かれても「よく分かりません」と答えれば良いです。
痛くなりやすい時間帯もあるなら、伝えてください。
⑥痛みでできなくなったこと、困っていること
「痛みで〇〇ができなくなった」ということを、具体的に教えてください。例えば、
- 「前屈みになると背中が痛いから、靴下を履くのが大変」
- 「歩くと右足が痛いから、買い物に行くのに困っています」
- 「痛みで夜何度も目が覚めます」
などです。
差し当たって生活に大きな支障を来さない程度まで痛みを和らげることは、現実的な目標にしやすいため、ぜひ痛みの生活への影響を教えてください。
⑦痛みの強さ
これについては、痛みを伝えることに慣れてきたらでOKです。痛みの強さを数字で尋ねることは、医療者は一般に行うことです。
0=全く痛くない、10=想像できる最も強い痛み
として、
・今の痛みの強さ、メッチャ痛いときの強さは0から10の間でどれくらいか?
・今の痛みの強さは大丈夫なのか、それとももう少し楽な方が良いのか?
数字は自分の感覚でOKです。言い方としては「いまは0だけど、痛くなったら3くらい」という感じです。人によっては、「今は1.2くらいで大丈夫」など0.1刻みで表現される方や、0から100の間で表現される方もいらっしゃいます。また、強さが「8だけど大丈夫」という方もいらっしゃいます。その辺は自由で問題ありません。
「数字で表現するのは得意ではないよ」という方は、そのことを医療者に伝えた上で、「今くらいの痛みなら大丈夫」とか、「もう少し楽なほうが良い」などと数字を使わずに言葉で伝えてもらえればOKです。
また、痛みの数字ばかり訊かれて嫌になってきたら、そのことも医療者へ伝えてください。痛みのことばかり尋ねられると、嫌でも痛みに意識を向けざるを得なくなります。痛み以外のことに意識を向けられる時間、病気であることを忘れられる時間は貴重です。痛みのことを気にかけつつも、その人を一人の人間としてみる意識も忘れないバランス感覚が、緩和ケアに関わる医師や看護師には求められます。
痛みをメモしておくのも良い
ここまでご紹介した7つのポイントを、受診時に伝えるのは簡単ではないと思います。そのため、痛みをメモしておくことも良いでしょう。
医療機関によっては痛みの治療日誌といったものを貰えるところがあります。日々の痛みの強さの数字や、痛み止めの頓服を飲んだ時刻など記録しておき、受診時に日誌を医師や看護師に見せる、といった感じで使います。
また、記録することで痛みという見えないものが見える化されることもメリットです。利用できるなら、痛みの治療日誌の活用もオススメです。
まとめ
本日の記事では、
- 痛みはまず伝えることが大切!
- 痛みの伝え方のポイント
について解説しました。
最後にもう一度、ポイントをおさらいします。
- どこが痛いのか?
- いつから痛いのか?痛みは強くなっているのか?
- ずっと痛いのか、ときどき痛いのか?
- どんな痛みなのか?
- 何をすると痛くなり、何をすると和らぐのか?
- 痛みでできなくなったこと、困っていること
- 痛みの強さ
メモや痛みの治療日誌も活用!

痛みをうまく伝えることは、適切な痛みの治療につながります。できる範囲で良いので、これらのポイントを伝えていただけると医療者は助かります!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!